妊娠中の鍼灸治療

 

妊娠中、鍼灸治療していいのか

時々『妊娠中に鍼灸治療受けても大丈夫ですか?』と質問をもらうことがあります。

結論から言うと『問題ありません』

当院では妊娠維持のための鍼灸や、逆子治療、マタニティ治療も行っています。




安全という根拠

2015年にイギリスで『産科鍼治療の安全性 禁忌穴の再検討』という研究論文が発表されました。

この内容を要約すると...
・妊娠中の鍼治療自体の安全性は合理的に十分に受け入れられているが、妊娠中に歴史的に「禁じられている」と考えられている経穴(ツボ)への鍼に関して検証する 
・禁じられた経穴(禁忌穴)での刺鍼後の害の客観的な証拠はない
・妊娠のすべての段階で禁忌穴に鍼を刺した妊婦の流産率、早産などは、鍼をしていない妊婦と同等である 
ということなどが書いてあります。

大前提として「妊娠中の鍼治療は安全である」とされており、その上で歴史的に妊娠中に禁じられているとされる禁忌穴に鍼治療をしても流産率や早産などの確率は変わらないと報告されています。

 

 

なぜ不安な情報があるのか

歴史的背景

鍼灸や漢方は、日本でも古くから医療として行われてきました。江戸時代に書かれた医学書の中に『堕胎』の治療法もあったそうです。現代の産婦人科に「人工妊娠中絶」が行われているように、当時の医療の中にも『堕胎』の治療がありました。そのため『妊娠中の鍼灸治療は堕胎や流産の可能性がある』という誤解が生まれてしまったのではないかと予測されます。

 

WHO(世界保健機関)の影響

かつて妊婦さんへの施術は禁忌としていた時代がありましたが、現在では妊婦さんへの悪阻の治療などもWHOで認められています。しかし古い情報が今でも流通していることが、不安を生み出す要因となっているでしょう。


禁忌穴(ツボ)

昭和20年以前は禁忌穴として、三陰交や肩井などが挙げられていました。しかしはじめに書いた2015年のイギリスの研究論文の以前に、昭和20年代に三陰交を使った治療が妊婦さんとお腹の赤ちゃんに優れた効果を発揮すると、産婦人科医の石野信安先生が学会で発表し、見直されるようになりました。

 

 

妊娠中の鍼灸治療を受ける際の注意

適切な経穴(ツボ)を選択し、その人の身体に合った適度な刺激量で治療をすれば危険性はなく、むしろ鍼灸治療は妊娠維持や妊娠中の養生(健康管理・体調管理)に有効だと言えます 。
ただし、 いい加減な治療、粗雑・ガサツな治療、無知な治療はリスクを伴います。(これは妊娠中に限らないお話しですが)
妊婦さんの治療に精通している・慣れている鍼灸院で治療を受けたほうが、より安心でしょう。




まとめ

「妊娠中の鍼灸治療は控えた方がいい」という風に紹介されている情報が未だにあることは事実です。
妊娠中は胎児への影響を配慮し、多くの化学薬品の使用を控えます。
だからといって妊娠中に起こる様々な症状をただ我慢するのでは、妊婦さんは大変辛いですよね。
そういった時こそ、副作用の心配がない鍼灸治療を活用してみるのも良いかと思います。
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