『何かが終わる』感覚
『何かが終わる』感覚
夕暮れどきや休みが終わる週末などに、このような気持ちになる人が多くいますが、こういった感覚は無意識に呼び起されている可能性が高いといわれています。
しかし夏の夕暮れと秋や冬の夕暮れでは、また違った感覚を覚える人が多いのも事実です。 ちなみに秋冬になると寂しさや孤独感を抱く人、人恋しさを強く感じる人が多いそう。
これは気温の低下が生命維持において不安を抱かせやすくなること、日照時間の短さによってセロトニンが普段より分泌されにくくなっていることなどがあります。
そう思うと、冬の前の秋にも、その序章として同様の心理的変化が起きやすくなると言えるでしょう。
うつ病になる可能性
実は季節の移り変わりが人間の気分に影響を及ぼすということは、何千年も前から知られていました。
にもかかわらず「季節性感情障害(Seasonal Affective Disorder : SAD)」という言葉が初めて登場したのは1980年代になってからのことです。
SADとは、秋から冬にかけて、決まって気分の落ち込みが見られる障害のことです(夏にうつ状態になる場合もあります)。 SADには他の型のうつ病と多くの共通点があります。
季節性感情障害(SAD)とは
SADはうつ病の一種で、秋または冬に抑うつが始まり、春や夏になると治まるという特有のサイクルを繰り返します。このため「反復性冬季うつ病」と呼ばれることもあります。
SADにみられる症状の多くは、季節性ではない普通のうつ病と同じです。
・ 気分が落ち込む(午前中のほうが症状が強い)
・ 気力がなくなる
・ 元気が出なくなる
・ 生きる気力がなくなる
・ 物事を楽しめない
・ イライラする
・ 人と会いたくない
・ 性欲が減退する
しかしSADには普通のうつ病とは少し異なる症状もあります。
非季節性のうつ病においては、眠れなくなり食欲もなくなるのが一般的ですが、SADの場合は、睡眠時間が長くなり食欲も増すことが多いです。 SADになると冬の間、朝起きるのがとてもつらくなり、日中にも眠気を感じることが多くなります。
またチョコレートや白パン、甘いお菓子といった高炭水化物の食品が食べたくてたまらなくなることがあります。SADを持つ人は運動量も低下しがちなため、冬に太りやすくなります。 そしてSAD型のうつ病は春になると回復します。SADを持つ人の約3分の1が、春から夏にかけて気分がやや高揚した状態になります。
SAD に罹りやすい人
他の型のうつ病と同様、SADは妊娠可能な年齢の女性に最も多く見られます。女性のほうが男性より約3倍罹りやすいといわれています。子どもや年配者がSADになることもありますが、きわめて稀です。
SAD に罹る割合
冬になると多くの人に軽い疲労感や睡眠時間の増加、体重の増加といった体調の変化が見られます。動物の冬眠に少し似ています。しかしこうした症状が日常生活に支障をきたすようならば、それはSADであると考えられます。英国では100人に3人が深刻な冬季うつ病に悩まされています。
SAD の原因
単に冬場の日照時間不足が原因であると考えられています。現代の生活では屋内で過ごすことが多く、日光に当たる時間が少なくなっています。光が不足すると脳内でセロトニン(幸せホルモン)の分泌が減るため、うつ病になりやすくなると考えられています。
SAD による悪循環
SADの症状の中には、さらなる問題を生んで「悪循環」を引き起こし、症状を悪化させるものがあります。
・ いつも疲れていて、何もしたくない。運動不足がさらにうつを悪化させることがあります。
・ 食べる量が増え、太ってしまいます。
・ 眠気、やる気のなさ、イライラといった症状は、家庭や交友関係、仕事の上でのトラブルの元になりかねません。また、やるべきことがあってもそれに取り掛かかることができず、さらなるストレスを感じることがあります。
こうした「悪循環」がひどくなる前に、次に示すような自分でできる対策を試してみましょう。
SAD への対策
・日照時間の短い時期にはできるだけ屋外に出て、日光に当たりましょう。
・ 普段から行なっている運動を続けましょう。よく日に当たれるよう、屋外で行なうのが最善です。
・ 家族や友人に相談して、理解と協力を得るようにしましょう。
・できるだけ規則正しい生活を送る
まとめ
そろそろ秋がやってきます。
日が短くなって「なんかさみしいな・・・」「もう1日終わりか・・・」と思う方は、私も含め実際には少なくありません。
今から対策を意識して生活するだけでも、SADになるリスクは少なくなります。
ぜひ参考にしてみてください。