卵子の残りの数と時間|現状把握と戦略設計

卵子の「残りの数」と妊活

— AMHの見方・よくある勘違い・今日から出来ること —

  • AMHは“卵巣にどのくらい卵胞が残っていそうか”の目安(量の指標)
  • AMHは「妊娠の可否」や「卵の質」を直接は示さない
  • 年齢とともに卵子は減るが、行動で「チャンスの最大化」はできる

卵巣予備能(OR)とは?

卵巣予備能(Ovarian Reserve)は、卵巣に残っている卵胞の数や機能の目安です。生まれた時に持っている卵子の元(原始卵胞)は年齢とともに減少し、加齢で卵子の質も低下します。したがって、「量」と「質」は別軸ですが、いずれも時間と相関します。

主な評価方法

  • AMH(抗ミュラー管ホルモン):卵巣内の発育途中の卵胞から分泌。量の目安で、採卵数の見通しに使われやすい。
  • AFC(胞状卵胞数):経腟エコーで数える。周期初期の卵胞の数。
  • 基礎FSH:月経3日目のFSH。高値は予備能低下の示唆。

どの指標も単独での断定は不可。年齢、月経周期、既往歴、パートナー要因と併せて、専門医が総合判断します。

AMHで起こりがちな3つの勘違い

  1. 「AMHが低い=妊娠できない」…誤り。AMHは量の指標であり、自然妊娠の可否や卵の質を直接決めません
  2. 「AMHは上げられる」…基本的に困難。生活改善で上がることはあっても、数そのものを恒常的に増やす介入は確立されていません
  3. 「AMHが高い=安心」…注意。年齢による質の低下はAMHが高くても進みます。妊活の計画は年齢軸も必須。

年齢と時間設計:いま何を決めるべきか

妊活は「医学的現実 × 生活リズム × パートナー調整」の掛け算です。以下の3ステップで意思決定を。

STEP1|現状把握

  • 基礎検査:AMH、AFC、基礎FSH、甲状腺、プロラクチン、精液所見など
  • 生活リズム:就寝・起床、食事時間、嗜好品(アルコール/甘味/清涼飲料)、体重変動

STEP2|戦略設計

  • タイミング法/IUI/IVFの移行基準と期限を先に決める
  • 年齢・AMH・既往に応じた採卵回数の見通しを主治医と共有

STEP3|日々の行動

  • 同じ時間に寝て起きる/夕食は就寝2–3時間前に
  • 超加工食品・清涼飲料水を控える/タンパク質・鉄・葉酸・発酵食品
  • 週150分目安の有酸素+週2回の筋トレ(無理のない範囲)
  • ストレス対策:呼吸・入浴・軽い散歩・デジタルデトックス

鍼灸でサポートできる可能性

鍼灸は血流・自律神経・睡眠・肩こり/腰痛などの不調へのアプローチを通じて、妊活の基礎体力とリズムを整えるサポートになり得ます。個人差はありますが、以下のような声を多くいただきます。

  • 「寝つき・寝起きが整い、体温の波が安定した」
  • 「肩首のこわばりが減り、月経前の不調が軽くなった」
  • 「食欲や便通など日内リズムが整い、心の余裕ができた」

医療的介入(タイミング/IUI/IVF)と併走し、「準備の質」を高めることが目的です。

今日から見直す8つのチェック

  1. 就寝はできれば24時前/毎日ほぼ同じ時間に
  2. 夕食は就寝2–3時間前/遅い時間の糖質+脂質を減らす
  3. 清涼飲料水・菓子パン・超加工食品の頻度を下げる
  4. 週150分の有酸素+週2回の筋トレ(体調に合わせて)
  5. 体重が低すぎ/高すぎないか(目安BMI18.5–24.9)
  6. 喫煙・過度の飲酒は回避
  7. パートナーと食事回数・就寝時刻を合わせる
  8. 基礎検査の結果は期限付きの行動計画に落とし込む

摂りたいもの(毎日〜週数回)

  • タンパク質:筋量・ホルモン材料
    例)鶏むね/ささみ、卵、豆腐・納豆・高野豆腐、鮭・サバ、ギリシャヨーグルト

  • 鉄(+ビタミンCで吸収UP):排卵・子宮内膜の材料
    例)赤身肉、レバー(週1程度)、アサリ、ほうれん草、ひじき、いちご/柑橘(ビタミンC)

  • 亜鉛:ホルモン合成・抗酸化
    例)牡蠣、赤身肉、豚レバー、カボチャの種、納豆

  • 葉酸:着床期まで重要
    例)枝豆、ほうれん草、ブロッコリー、アボカド、納豆(サプリは400µg/日が一般的)

  • ビタミンD:排卵・免疫調整
    例)鮭、サバ、サンマ、卵、きのこ(天日干し)+日光5〜15分

  • オメガ3脂肪酸:抗炎症・血流
    例)青魚(サバ/イワシ/サンマ)週2〜3回、えごま油/亜麻仁油(加熱せず小さじ1)

  • 発酵食品+食物繊維:腸内環境→ホルモン代謝を整える
    例)味噌、納豆、ヨーグルト、ぬか漬け+雑穀ご飯、海藻、きのこ、野菜

控えたいもの(頻度を落とす)

  • 清涼飲料水・エナジードリンク、菓子パン・スナック、超加工食品

  • 過度のアルコール・喫煙

  • 深夜のドカ食い(就寝2–3時間前までに夕食)

妊活の土台づくり、伴走します

さがみ鍼灸整骨院(町田)では、睡眠・食事・運動・自律神経の整備と鍼灸ケアで、治療ステップと両立できる「続く習慣」を設計します。

予約・問い合わせはこちら

よくある質問

Q. AMHが低いと言われました。自然妊娠は無理ですか?

A. AMHは量の指標で、自然妊娠の可能性を直接断定しません。年齢・他の検査・生活要因を含めて主治医と戦略を立てましょう。

Q. AMHは上げられますか?

A. AMH値そのものを持続的に上げる方法は確立していません。とはいえ、睡眠・栄養・運動・ストレス対策などでコンディションを整えることは有益です。通院されている方でAMH値が改善されて妊娠された方は多数います。

Q. 鍼灸はいつから始めれば良い?

A. 早いほど日常リズムの調整が進みやすいです。治療周期に合わせた頻度・時期は個別にご提案します。

Q. 何から手をつければ?

A. 「不要なものを体内に入れない」から始めるのがおすすめです。

まとめ:数に縛られず、行動でチャンスを最大化

  • AMHは「量の目安」。妊娠可否や質を直接決めない
  • 年齢は重要な軸。ステップアップの「期限」を決める
  • 日常の設計(睡眠・食事・運動・ストレス)で、治療の効果を受け取りやすい身体に