骨盤の硬さが妊娠率を下げる。反り腰・骨盤神経の圧迫・仙骨癒着が生殖器の働きを阻害する理由

不妊症

不妊症と「硬い骨盤」――反り腰・捻れ・傾きが生殖機能と血流に与える影響

「検査では異常なしと言われたのに、なかなか妊娠しない…」。
そんな方の中には、ホルモンや卵巣・子宮だけでなく、「骨盤まわりのゆがみ・硬さ」が大きく影響しているケースがあります。

骨盤が「硬い」とはどういう状態?

本来、骨盤は歩く・座る・寝返りなどの動きに合わせて、わずかに開いたり閉じたりしながらクッションの役割をしています。
しかし、

  • 長時間のデスクワーク
  • 片側ばかりでカバンを持つ・横座り・足組み
  • 運動不足による筋力低下

などが続くと、骨盤を支える筋肉や靭帯が緊張してしまい、「動きの少ない硬い骨盤」になります。

反り腰・捻れ・傾き・足の長さや向きの違いが教えてくれること

1. 反り腰(腰が反り過ぎている)

腰が反り過ぎると、骨盤は前に倒れた状態(前傾)になりやすく、
お腹側の筋肉が引き伸ばされ、腰やお尻の筋肉がガチガチに緊張します。
その結果、

  • お腹・骨盤内の血流低下
  • 腰の張り・冷え
  • 子宮・卵巣まわりの循環低下

などにつながる可能性があります。

2. 捻れ(左右で骨盤の向きが違う)

骨盤が左右どちらかに捻れていると、
片側の筋肉・靭帯に負担が集中し、反対側はゆるみやすいアンバランスな状態になります。
このアンバランスは、

  • 片側だけ腰やお尻が張る
  • 生理のとき痛みが左右どちらかに偏る
  • 足の付け根の詰まり感・重だるさ

として表れ、結果的に骨盤内の血流を一方向に偏らせる原因にもなります。

3. 傾き(左右の高さが違う)

骨盤の左右の高さが違うと、肩の高さや頭の位置まで影響し、
身体全体が「ナナメ」にゆがんだ姿勢になります。
この状態が続くと、

  • 腰〜骨盤周囲の筋肉が常にどこか一部だけ緊張
  • 骨盤内の血管が物理的に圧迫されやすい
  • 内臓の位置が下がりやすく、子宮まわりが窮屈になる

といった問題が起こりやすくなります。

4. 足の長さが違う・足の向きが違う

ご自身では気づきにくいのが、足の長さや向きの左右差です。
うつ伏せや仰向けで寝てもらうと、

  • 片方の足だけが長く見える
  • つま先の向きが左右でバラバラ

といった方は少なくありません。
これは、骨盤や股関節の捻れ・傾きがそのまま足に現れているサインです。
足の左右差が大きいほど、骨盤まわりの筋肉バランスや血流にも差が生まれやすくなります。

仙骨周囲の軟部組織が癒着すると何が起こる?

骨盤の真ん中にある逆三角形の骨を「仙骨」といいます。
仙骨の周囲には、

  • 骨盤底筋群
  • 靭帯・筋膜
  • 脂肪組織・結合組織

など多くの軟部組織が重なっています。
長年の姿勢不良や冷え、ケガなどの影響で、これらの組織同士がベタッとくっつく「癒着」を起こすと、

  • 仙骨まわりの動きが悪くなる
  • 筋肉や靭帯が常に引っ張られたような状態になる
  • 周囲の血管・リンパの流れが滞りやすくなる

といった問題につながります。

骨盤神経への圧迫と生殖器の機能低下

仙骨には骨盤内臓神経・仙骨神経叢と呼ばれる神経が集まり、
子宮・卵巣・卵管・膀胱・直腸など、骨盤内の臓器の働きをコントロールしています。
仙骨まわりの軟部組織が硬く癒着すると、

  • 神経の通り道が圧迫されやすくなる
  • 血流不足で神経への栄養が届きにくくなる

結果として、生殖器の機能が本来の力を発揮しにくい状態になってしまう可能性があります。

さらに、血流の低下は、

  • 子宮内膜がふかふかになりにくい
  • 卵巣への酸素・栄養の供給不足
  • 骨盤内の冷え・うっ血

といった形で不妊症と深く関わってきます。

「検査では異常なし」でも、骨盤まわりがサインを出していることがあります

不妊クリニックの検査で大きな異常が見つからなかったとしても、

  • いつも腰が張っていて反り腰気味
  • 歩くとスカートが回ってしまう
  • 写真を撮ると、いつも片方の肩ばかり下がっている
  • 足を組むクセがやめられない
  • 生理のとき、腰やお尻の片側だけが特に痛む

といった方は、骨盤のゆがみ・硬さ・仙骨まわりの癒着が背景に隠れているかもしれません。

骨盤まわりを整えることで「授かる土台」をつくる

不妊症のケアというと「ホルモン」「卵子」「年齢」にばかり目が向きがちですが、
その土台となる骨盤の環境を整えることも、とても大切な視点です。

  • 骨盤の反り・捻れ・傾きを整える整体・鍼灸
  • 仙骨周囲の筋肉・靭帯・筋膜の緊張をゆるめる施術
  • 骨盤内の血流を促す温熱ケア(お灸・よもぎ蒸しなど)
  • 正しい姿勢・歩き方・座り方の習慣づくり

これらを組み合わせていくことで、
子宮・卵巣が本来の力を発揮しやすい「授かるための土台」を整えていくことができます。

まとめ

  • 硬い骨盤・反り腰・捻れ・傾きは、骨盤内の血流低下や冷えの原因になりやすい
  • 足の長さや向きの違いは、骨盤のゆがみが表面に出たサインのひとつ
  • 仙骨周囲の軟部組織が癒着すると、骨盤神経や血管が圧迫され、生殖器の働きが低下しやすい
  • 検査で異常がなくても、骨盤環境を整えることで妊娠の「土台作り」をサポートできる可能性がある

もし、不妊症の原因がよく分からないまま悩んでいるのであれば、
一度「骨盤の状態」や「仙骨まわりの柔らかさ」にも目を向けてみてください。
身体の土台から整えていくことで、からだ全体が変わるきっかけになるかもしれません。