妊娠したい人が本当に見直すべき足らない栄養素ワースト5
妊活の情報を調べると、まず出てくるのが「葉酸サプリ」という言葉。
もちろん葉酸は大切な栄養素ですが、「妊娠しやすさ」や「妊娠を維持する力」は、葉酸だけで決まるわけではありません。
現代の日本人女性は、痩せ型・ダイエット・不規則な生活・コンビニ食などの影響で、
妊娠に必要な栄養素が「じわじわ不足している」状態になりがちです。
この記事では、あえて葉酸を外して、
「妊娠に必要」かつ「現代日本人女性で不足しやすい」栄養素ワースト5を、妊活目線でまとめました。
妊娠に必要な栄養素ワースト5(葉酸以外)
今回は、統計データと臨床現場の感覚の両方を踏まえて、次の5つをピックアップしました。
- 第1位:鉄
- 第2位:ビタミンD
- 第3位:たんぱく質
- 第4位:カルシウム
- 第5位:マグネシウム&亜鉛
どれも「聞いたことはあるけれど、ちゃんと意識して摂れていない」ものばかり。
1つずつ、妊娠との関係と、具体的な摂り方を解説します。
第1位:鉄 ー 卵巣・子宮に「血」を届ける最重要ミネラル
● なぜ妊娠に鉄が必要なの?
鉄は、血液の材料になるだけでなく、
卵巣や子宮に酸素と栄養を運ぶために必須のミネラルです。
- 卵巣の血流が悪い → 卵子が十分に育ちにくい
- 子宮内膜への血流が悪い → 内膜がふかふかに育たず、着床しづらい
- 全身の酸素不足 → だるさ・冷え・頭痛・イライラ・やる気が出ない
「検査で貧血ではない」と言われていても、フェリチン(貯蔵鉄)不足の“隠れ貧血”が多いのが30〜40代女性の特徴です。
妊活中の「疲れやすさ」や「冷え」の裏に、鉄不足が隠れていることは少なくありません。
● 鉄不足を疑うサイン
- いつも眠い・だるい・朝起きられない
- 手足が冷たい・顔色が悪いと言われる
- 立ちくらみ・動悸・息切れが気になる
- 生理の経血量が多い・生理日数が長い
- 髪がパサつく・抜け毛が増えた
● 鉄を増やすおすすめ食品
- レバー(鶏・豚を少量ずつ、週に1〜2回)
- 赤身肉(牛もも・豚ヒレなど)
- カツオ・マグロ・イワシ・サバ
- あさり・しじみ・ひじき・大豆製品
- 小松菜・ほうれん草+ビタミンC(レモン・柑橘・ピーマンなど)
ポイントは、「赤身の肉・魚を怖がらない」こと。
カロリーだけを気にして鶏むね肉ばかりになると、鉄が足りなくなりやすいです。
第2位:ビタミンD ー ホルモンと着床環境の“黒子役”
● なぜ妊娠にビタミンDが必要?
ビタミンDというと骨のイメージが強いですが、
実は卵巣・子宮内膜・胎盤にもビタミンD受容体があり、ホルモンバランスや免疫に深く関わる栄養素です。
- 排卵のリズム・卵巣機能のサポート
- 子宮内膜の受容性(受け入れる力)を整える
- 免疫のバランスを整え、着床を妨げる過剰な炎症を抑える
- 妊娠高血圧・妊娠糖尿病などのリスクにも関与
現代人は日焼け止め+屋内生活で日光に当たる時間が短く、血中ビタミンDが低い女性が非常に多いと報告されています。
● ビタミンD不足を疑うサイン
- 日光に当たる時間が極端に少ない(通勤・買い物もほぼ屋内)
- 魚をほとんど食べない生活が続いている
- 骨密度が低い・骨折しやすいと言われたことがある
- 冬〜春にかけて不調が悪化しやすい
● ビタミンDを増やすおすすめ食品&習慣
- サケ・サンマ・イワシ・サバ・ブリなど脂ののった魚
- 卵黄
- きのこ類(特に干し椎茸など日光に当てたもの)
- 日中に10〜15分程度、手の甲や顔を軽く日光に当てる
毎日でなくてもいいので、「週に2〜3回は魚をメインにする」ことを目標にすると、ビタミンDと同時にオメガ3脂肪酸も補給できます。
第3位:たんぱく質 ー 卵子・子宮・ホルモンの材料
● なぜ妊娠にたんぱく質が必要?
卵子・子宮内膜・ホルモン・血液… これらはすべてたんぱく質から作られています。
戦後と比べると、日本人のたんぱく質摂取量は一度増えた後、最近は1950年代と同じくらいまで落ちてきたというデータもあります。
妊娠前からギリギリのたんぱく質量で過ごしていると、妊娠して赤ちゃんの分も必要になったとき、
「ママの体も赤ちゃんも、どちらも材料不足」という状態に陥りやすくなります。
● こんな食生活は要注意
- 朝はコーヒーとパンだけ、または何も食べない
- ランチはおにぎり・パン・パスタなど、炭水化物メイン
- 夜だけとても豪華、またはコンビニ弁当+スイーツ
- ダイエットで肉・魚・卵を極端に控えている
● 妊活中のたんぱく質の目安と食品
目安としては、体重×1.0〜1.2g/日くらいを目標にすると良いとされています。
50kgの人なら、1日に50〜60g程度です。
- 肉・魚・卵・大豆製品を「毎食手のひら1枚分」意識
- 朝に卵+納豆、昼に肉か魚、夜に魚か豆腐料理を入れるイメージ
- おやつは甘いものだけでなく、ヨーグルト・チーズ・ナッツなどを選ぶ
「カロリーを減らす=たんぱく質を削る」ダイエットは、妊活的には絶対にNGです。
第4位:カルシウム ー ママの骨と血圧を守る“土台栄養”
● なぜ妊娠にカルシウムが必要?
カルシウムは、赤ちゃんの骨・歯の材料になるだけでなく、
ママの血圧・筋肉の収縮・神経の働きにも関わっています。
- 妊娠後期の血圧上昇(妊娠高血圧症候群)のリスクに関与
- 不足したカルシウムは、ママの骨から優先的に取り出される
- 筋肉のけいれん・こむら返り・イライラの原因にも
日本人女性は、年代を問わずカルシウムが慢性的に不足していると言われています。
● カルシウムを増やすコツ
- 朝:ヨーグルト+フルーツ+ナッツ
- 昼:小魚入りのサラダや、豆腐・チーズをトッピング
- 夜:牛乳ベースのスープ、豆腐・小松菜・チーズなどを1品追加
乳製品が苦手な方は、小魚・豆腐・小松菜・ゴマなどを意識的に組み合わせましょう。
第5位:マグネシウム&亜鉛 ー ホルモンとメンタルを支える“影の立役者”
● マグネシウム:ストレスとホルモンの調整役
マグネシウムは、体の中の300種類以上の酵素反応に関わると言われています。
- ストレス応答・自律神経のバランス
- 血糖コントロール(甘いもののとり過ぎによる乱高下を緩和)
- 筋肉の緊張をほぐす(肩こり・首こり・子宮周りのこわばり)
- 眠りの質をサポート
精製された白いごはん・パン・麺が多く、海藻や雑穀・ナッツが少ない食生活だと、マグネシウムが不足しやすくなります。
● 亜鉛:卵子と精子のクオリティを支えるミネラル
亜鉛は「妊活ミネラル」とも呼ばれ、卵子の成熟・排卵・黄体ホルモンの分泌に関わるとされています。
男性側では、精子の数・運動率・形にも深く関わっています。
- 味覚の低下・食欲不振
- 肌荒れ・口内炎が治りにくい
- 風邪をひきやすい
- 抜け毛・爪のトラブル
こうした症状が多い方は、亜鉛不足を疑っても良いかもしれません。
● マグネシウム&亜鉛を増やす食品
- 海藻(わかめ・ひじき・昆布)
- ナッツ類(アーモンド・クルミ・カシューナッツ)
- 雑穀入りごはん・玄米
- 牡蠣・赤身肉・レバー・卵
- 大豆製品(納豆・豆腐・味噌)
コンビニで選ぶときも、「ナッツ入り」「大豆・海藻入り」を優先して選ぶだけで、かなり変わります。
今日からできる妊活栄養の整え方3ステップ
ここまで読むと、
「全部ちゃんとやらなきゃいけないの?」と感じるかもしれませんが、
いきなり完璧を目指す必要はありません。
ステップ1:朝ごはんに「たんぱく質」を足す
- ごはん+味噌汁+納豆+たまご
- ヨーグルト+フルーツ+ナッツ
- 卵かけごはん+海苔+小松菜のおひたし
朝にたんぱく質が入るだけで、その日一日の血糖値とホルモンのリズムが整いやすくなります。
ステップ2:週2〜3回「魚の日」を作る
- 焼き魚定食・煮魚定食を選ぶ
- サバ缶・イワシ缶を常備しておく
- コンビニならサラダチキンだけでなく「サバ缶+サラダ」を組み合わせる
ビタミンD・オメガ3脂肪酸・たんぱく質を一気に補給できます。
ステップ3:毎日1回「鉄+ビタミンC」のセットを意識
- 赤身肉料理+野菜サラダ(レモン汁ドレッシング)
- ひじき煮+みかん・キウイ
- あさりの味噌汁+パプリカのマリネ
鉄はビタミンCと一緒に摂ることで吸収率がグッと上がります。
まとめ:葉酸だけに頼らず「体の土台」を整える
今回は、あえて葉酸を外して、
現代日本人女性が妊娠のために不足しやすい栄養素ワースト5を紹介しました。
- 第1位:鉄 … 卵巣・子宮に血を届ける
- 第2位:ビタミンD … ホルモンと着床環境の黒子役
- 第3位:たんぱく質 … 卵子・子宮・ホルモンの材料
- 第4位:カルシウム … ママの骨と血圧を守る土台
- 第5位:マグネシウム&亜鉛 … ストレス・免疫・卵子&精子のサポート
妊娠は「サプリを1つ飲めば解決する」ほど単純なものではありません。
まずは、毎日の食事の中で「血」「ホルモン」「骨・筋肉」を支える栄養素を底上げすることが、妊活の土台作りになります。
「何から始めればいいか分からない」「自分の食事が妊活向きか不安」という方は、
まずは1週間の食事を写真に撮って振り返ることからでもOKです。
足りていない栄養素が見えてくると、妊活の方向性もグッとクリアになります。


