脂肪肝・LDLコレステロールが気になる女性へ|水溶性食物繊維とダイエットで「胆汁酸」と「腸」を整える
「お酒はほとんど飲まないのに、健診で脂肪肝と言われた…」
「悪玉コレステロール(LDL)が高いから注意しましょう、と毎年言われる…」
そんな女性がここ数年で一気に増えています。
実は、LDLコレステロールと脂肪肝の背景には「胆汁酸」と「腸」の働きが深く関わっています。
そしてもう一つ見逃せないのが、「体脂肪・内臓脂肪を落とすためのダイエット」です。
体が動くから、仕事ができているからと、数字の悪化をそのまま放置しておくと危険です。
アルコールを飲まなくても増える「脂肪肝」と「LDLコレステロール」
脂肪肝というと「お酒の飲みすぎ」というイメージがありますが、最近増えているのは
アルコールをほとんど飲まない人の脂肪肝(非アルコール性脂肪肝)です。
- 会社の健診で「脂肪肝」と言われた
- 悪玉コレステロール(LDL)が高いと毎回指摘される
- 中性脂肪や肝機能の数値も少しずつ悪化している
こうした変化の裏側には、腸内環境の乱れ・便通のトラブル・食物繊維不足に加えて、
内臓脂肪の増加・体重増加が隠れていることが少なくありません。
脂肪肝を放置すると何が起こる?
「まだ動けるし、仕事もできているから大丈夫」
そう思って脂肪肝やLDLの数値を放置してしまう方は少なくありません。
しかし、脂肪肝は症状がほとんど出ないまま、じわじわと進行していきます。放置すると、
- 肝炎・肝硬変など、肝臓の病気に進行するリスク
- 動脈硬化が進み、心筋梗塞・脳梗塞などのリスク上昇
- 糖尿病・高血圧など「生活習慣病」のセットで悪化
放置しておくと脂肪肝は、炎症を伴う脂肪肝炎(NASH)を経て肝硬変、さらには肝臓がんへ移行していく可能性があります。
「今は何も症状がないから大丈夫」ではなく、「症状がない今のうちに止めておく」ことが何より大切です。
体が動くうち、仕事が普通にできているうちに、
「まだ大丈夫」ではなく「今のうちに整えておく」ことが、将来の自分を守ることにつながります。
胆汁酸は「LDLコレステロール」を原料に作られている
脂質の消化・吸収に欠かせないのが胆汁です。胆汁の主成分が胆汁酸です。
胆汁酸は、LDLコレステロールの約8割を原料として肝臓で作られていると言われています。
つまり本来、LDLコレステロールは「悪者」ではなく、胆汁酸を作るための大事な原料なのです。
胆汁酸は「作られて → 使われて → また戻ってくる」
胆汁酸は次のようなサイクルで使われています。
- 肝臓でLDLコレステロールを原料に胆汁酸が作られる
- 胆のうから十二指腸へ分泌され、脂肪の消化・吸収をサポート
- 小腸〜大腸の途中で約9割が再吸収され、門脈を通って再び肝臓へ戻る(腸肝循環)
- 残りの一部と、古くなった胆汁酸は便と一緒に体の外へ排泄される
この「古くなった胆汁酸をきちんと排泄する」ことが、新しい胆汁酸を作るスイッチにもなっています。
便通が悪いとLDLコレステロールが「余って」しまう
では、便通が悪いと何が起きるのでしょうか。
便が出にくい・毎日出ない・コロコロ便などで、古くなった胆汁酸がうまく排泄されないと、
- 新しい胆汁酸を作る必要がなくなる
- LDLコレステロールが「原料として使われない」状態になる
- 結果的に血液中にLDLコレステロールが余りやすくなる
という流れが起こります。
「便通が悪い → 胆汁酸の代謝が滞る → LDLコレステロールが下がりにくい」という悪循環です。
カギを握るのは「水溶性食物繊維」
ここで大事になってくるのが、水溶性食物繊維です。
水溶性食物繊維には、
- 腸の中で水分を含んでジェル状になる
- 胆汁酸を「からめ取って」一緒に便として排泄する
- 腸の動きを整え、スムーズなお通じをサポートする
- 腸内細菌のエサになり、善玉菌を増やす
といった働きがあります。
つまり、水溶性食物繊維をしっかり摂ることで、
- 古くなった胆汁酸をきちんと排泄する
- 新しい胆汁酸を作るためにLDLコレステロールが使われる
- 結果的にLDLコレステロール値の改善をサポートする
という自然なコレステロールコントロールに役立ってくれるわけです。
水溶性食物繊維が多い主な食品
- 海藻類(わかめ、ひじき、もずく、昆布など)
- 大麦・オートミール・押し麦
- 果物(りんご、柑橘類、キウイなど)
- ねばねば系野菜(オクラ、山芋、モロヘイヤ、なめこなど)
- 大豆製品・乾物(切り干し大根、高野豆腐など一部は不溶性も多い)
毎食どれか一品は「水溶性食物繊維の食材」を入れるイメージが大切です。
お通じが良くても安心できない「腸漏れ(リーキーガット)」
「私は毎日しっかり出ているから大丈夫」と思っている方も油断はできません。
お通じが良くても、腸のバリア機能が弱っていると問題が起きるからです。
腸の粘膜は本来、必要な栄養だけを通し、有害物質や大きすぎる分子はブロックしています。
しかし、
- 加工食品・添加物・砂糖の摂り過ぎ
- 慢性的なストレス
- 睡眠不足
- 過度なダイエット
などが続くと、腸のバリア機能が弱まり、「腸漏れ(リーキーガット症候群)」と呼ばれる状態になりやすくなります。
古くなった胆汁酸が「腸漏れ」で体内をめぐってしまう
腸のバリア機能が低下すると、本来は便として排泄されるはずの
古くなった胆汁酸や有害物質が、腸のすき間から血液中に入り込み、全身を巡ってしまう
ケースがあります。
特に、痩せているのに不調が多い人・細身なのに脂肪肝を指摘された人は要注意。
「たくさん食べていないから大丈夫」と油断しているうちに、腸の粘膜が傷み、リーキーガットになっていることも少なくありません。
痩せているのに脂肪肝・コレステロール異常がある人の特徴
痩せ型なのに脂肪肝やLDL高値を指摘される方には、次のような共通点が見られます。
- 朝食を抜く・食事回数が少ない
- パンやパスタ・スイーツなど糖質偏重の食事
- サラダは食べるが、海藻・豆・オートミールなどの水溶性食物繊維が少ない
- 冷たい飲み物・甘いカフェラテ・ジュースが多い
- ストレス・残業・睡眠不足が続いている
- 運動習慣がなく、筋肉量が少ない
細身でも、肝臓や腸の負担が大きい生活を続けていれば、内臓脂肪や脂肪肝、コレステロール異常は起こり得るのです。
LDL・脂肪肝対策には「ダイエット」が不可欠
ここでいうダイエットは、ただ体重を落とすことではなく、「体脂肪・内臓脂肪を落として代謝を整えること」です。
肝臓の周りやお腹の中に内臓脂肪がつくと、
- 肝臓で脂肪が処理しきれず、脂肪肝が進行しやすい
- 中性脂肪やLDLコレステロールが増えやすい
- インスリンの効きが悪くなり、血糖値も乱れやすい
という悪循環が起こります。
体が動く「今」だからこそ、ダイエットを始める
体が動くから、仕事ができているからと、
「もう少し悪くなってからでいいか」と先延ばしにしていると、
- ある日突然、検査数値が一気に悪化する
- 疲れやすさ・だるさ・息切れなどが強くなる
- 薬が手放せなくなるほど生活習慣病が進行する
という段階になってから、慌ててダイエットや生活改善を始めることになります。
「動ける今」こそが、最もラクに体を変えやすいタイミングです。
おすすめは「腸活+ダイエット」のセット
LDLコレステロールや脂肪肝を本気で改善したいなら、
- 水溶性食物繊維を増やして胆汁酸と腸を整える
- 筋肉量を落とさず体脂肪・内臓脂肪を減らすダイエット
この2つを同時に進めることが近道です。
今日からできる!水溶性食物繊維&ダイエットの簡単3ステップ
ステップ1:主食を「白」から「雑穀・大麦入り」に
- 白ごはん → 大麦・押し麦入りごはんにする
- パンだけで済ませず、スープをプラス
主食の質を変えるだけでも、血糖値の乱高下が落ち着き、脂肪がつきにくい体に近づきます。
ステップ2:毎食「海藻 or ねばねば」を1品
- 朝:味噌汁にわかめをプラス
- 昼:もずく酢や海藻サラダを一品
- 夜:オクラ・山芋・なめこなどのねばねば食材を使う
水溶性食物繊維を意識的に増やすことで、胆汁酸の排泄と腸内環境の改善を同時に進めます。
ステップ3:週2〜3回の「軽い筋トレ+歩く時間」をプラス
- エレベーターではなく階段を使う
- 一駅分多く歩く・早歩きを意識する
- スクワットやかかと上げなど、家でできる簡単筋トレ
筋肉量が増えると、基礎代謝が上がり、内臓脂肪が燃えやすい体になります。
無理な食事制限だけのダイエットではなく、「食事+運動+腸活」で整えていくことが大切です。
まとめ|LDLコレステロールと脂肪肝対策は「腸」と「胆汁酸」と「ダイエット」から
脂肪肝やLDLコレステロールの数値だけを見て、「油を減らそう」「薬を飲めばいい」と考えがちですが、
実はその前に見直したいのが腸内環境・水溶性食物繊維の摂取量・体脂肪量です。
- 胆汁酸はLDLコレステロールを原料に作られている
- 古くなった胆汁酸が便でうまく排泄されないと、LDLが余りやすくなる
- 水溶性食物繊維は、胆汁酸の排泄と腸内環境の改善に欠かせない
- お通じが良くても、リーキーガット(腸漏れ)で古い胆汁酸が体内を巡ることもある
- 痩せていても、内臓脂肪や肝脂肪が増えれば脂肪肝やコレステロール異常は起こる
- 放置しておくと脂肪肝は肝硬変・肝臓がんへ移行するリスクがあるため、「今のうち」に対策することが大切
- 体が動くからと放置せず、「今のうちに」ダイエットと腸活を始めることが将来の安心につながる
LDLコレステロールが高くてお困りの方、脂肪肝を指摘された方は、
まずは毎日の食事に水溶性食物繊維をしっかり取り入れつつ、体脂肪・内臓脂肪を落とすダイエットから始めてみてください。
「何をどれくらい食べたら良いのかわからない」「運動が苦手で続かない」「検査の数値が心配」という方は、
一人で悩まず、専門家にご相談ください。栄養・腸内環境・生活習慣・体重管理をトータルで見直すことで、
脂肪肝やコレステロールだけでなく、全身の不調が軽くなる方も少なくありません。

